• 子育ての小技 〜やっておいて損はないコト!〜

    子育てをしていて、

    「これでいいのか?」

    とか、

    「こういう時どうすればいいのかな?」

    とか思う瞬間がたくさんあると思います。

    実際に育児をしていて、

    「こうしておけばよかった!」

    「これをやっておいてよかった!」

    という中で、個人的にこれは使える、というものを列挙してみました。

    というより、実はまた子育てをすることになった時のために、私たち自身の注意事項になると思って作成したのです。

    テレビを見せない方が言語発達に良いとか、外で運動させた方が運動神経が良くなるとか、そういう大袈裟なものではなくて、でもこれはやっておいた方が良い!と断言できるものを列挙しました。

    その中でも、

    れだけはやっておくべきということと、頭の片隅には入れておいた方がよいというパートに分けてまとめています。頭の片隅に入れておいた方がよいことは、私の医師・皮膚科医としての知識・経験に裏打ちされたものがほとんどです。

    これから子育てをする方、あるいは今まさに子育てしている方の参考になれば幸いです。

    1. 混合授乳で育てる

    母乳と人工乳のどちらが良いのか、ここでは論じません。また何らかの事情で、信条で人工乳のみで育てておられる方もいらっしゃるでしょう。ここでお伝えしたいのは、「母乳で育てている方も、人工乳をうまく使えば、負担を軽減できる」ということです。以下の点でメリットがあります。

    ①卒乳がしやすい

    母乳のみの赤ちゃんは夜寝る前におっぱいを飲み、お腹がいっぱいになるとともにママと密着している安心感で眠ります。しかし、いずれは卒乳しなければなりません。おっぱいを飲まなければ・くわえなければ眠れないのでは、卒乳は難渋することが予想されます。またおっぱいをくわえたまま眠るということは、ママは赤ちゃんが眠るまでおっぱいを出しておかなければなりません。赤ちゃんが眠る前にママが寝落ちしてしまい、風邪をひいてしまうなんてことも・・・。夜寝る前だけでも人工乳にしておけば、卒乳しやすくなるはずですし、ママの負担も少なくなるでしょう。

    ②夜中に途中で起きない

    母乳だと、夜寝る前に十分に与えたつもりでも不足することもあるでしょう。そうすると、夜中に赤ちゃんが空腹で目を覚ましてしまうことも考えられます。その時はママも起きておっぱいを与えなければなりません。赤ちゃんもママも寝不足になってしまいます。その点、人工乳であればママの体調いかんに関わらずにたっぷりと与えることができます。夜中に目を覚さずに朝まで赤ちゃんもママもぐっすり眠ることができるかもしれません。

    2. 歯が生え始めたらすぐに歯磨きを始める/歯医者に定期的に通う

    何を当たり前のことを・・・と言われるかもしれませんが、重要なことです。赤ちゃんは意外とすぐに虫歯になります。最近では親から子へ口移しで食べ物を与えないことが推奨されていますが、それだけでは不十分です。赤ちゃんの目の前で話したりするだけで虫歯菌は赤ちゃんの口の中に入ってしまいますので、現実的には虫歯菌を全くうつさないということはほぼ不可能と言えます(マスクをつける、赤ちゃんの方を向いて話さない、近づかないなどすればあるいは可能かも)。というわけで、やはり歯磨きが大事になります。赤ちゃんは歯磨きされるのを嫌がり、逃げ回りますが、ここは心を鬼にして磨きましょう。工夫して楽しく磨ければもちろんよいですが、それよりちゃんと磨くことに重きを置きましょう。なお、オススメは歯が生え始めたら歯医者を定期的に受診することです。プロの目でしっかりと歯の状態をチェックしてもらえますし、歯磨きのやり方も教えてもらえます。定期的に受診することで、良い歯の状態を保つことができるでしょう。赤ちゃんは医療費がかからない自治体も多いと思いますので、積極的に歯医者を利用しましょう。

    3. ヘッドガードをつける

    ようやく立つことができるようになった頃は、よく転んで頭を打ちます。あるいは、立ち上がることでテーブルの角などに頭をぶつけることもあります。多少打撲したところで大したことはないと思いますが、その衝撃で脳細胞が死ぬことを考えれば、打撲はしないに越したことはありません。テーブルの角などをカバーするのも有効な手段ですが、それよりも赤ちゃんの頭の方を保護する方が効果的だと思います。赤ちゃんが嫌がったり、また夏は蒸れてしまったりしますが、頭(脳)の保護という観点から、ヘッドガードの着用を検討してもよいかもしれません。

    4. ベビーゲートを設置する

    次第に赤ちゃんはずり這いやハイハイ、あるいはヨチヨチ歩きができるようになってきます。そうすると危険も一気に増大します。中でも特に危険が多いのが台所です。コンロや包丁、炊飯器・・・。これらによる事故、考えただけでも恐ろしいですよね。しかし、移動ができるようになった赤ちゃんは、喜んでママやパパの元へ行こうとします。台所で料理をしている時に近づかれたら危ないから当然遠ざけますが、赤ちゃんはまた近づいてきます。何回も何回も遠ざけては近づかれて、を繰り返すことになります。まだ言葉が理解できないから当然です。こんな時は「ママやパパの元に行けないのは可哀想」という感情は捨てて、物理的に近づけないようにすべきでしょう。危ない目にあっては元も子もありません。ベビーゲートは、その物理的なバリアとして大いに役立つものであると考えられます。色々なタイプのものがありますが、ある程度頑丈で、赤ちゃんの力では超えられない、あるいは倒したり壊したりできないものが望ましいです。

    頭の片隅に入れておいた方が良いこと

    1. 湿疹をすぐに治す

    皮膚科医として、これだけは大切なお子さんにやっていただきたいということの1つです。湿疹はそれ自体が痒い、見た目がよろしくないなどの問題がありますが、それ以上に子供の湿疹はアレルギーマーチの原因になるという大いなる問題の原因になります。

    アレルギーマーチとは、アトピー性皮膚炎を端緒に気管支喘息やアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎が発症してくる病態を表した言葉です。そこでアトピー性皮膚炎をしっかりと治そうということになるわけですが、アトピー性皮膚炎ではない、ただの湿疹もその原因になり得ると考えられます。これは口から体内に入れた食物はアレルギー感作を起こしにくいが、皮膚から入った場合はアレルギー感作を起こしやすいという、二重抗原曝露仮説に基づくものです。湿疹があると、皮膚のバリア機能は低下してしまい、食物がそこから体内へ入ってしまいその食物のアレルギー感作が成立してしまう可能性があります。さらに、湿疹を放置することで掻いてしまい、傷ができたりして湿疹はさらに悪化をしてしまいます。ですので、湿疹は速やかに治してあげることが重要なのです。単純に痒そうだと可哀想ですしね。

    2. 早めに色々なものを食べさせる

    先ほどの湿疹の話とも関連があるお話です。以前は、なるべく卵などアレルギーを起こしうる食物の摂取開始は遅い方が良いとされていましたが、近年ではなるべく早めに食べさせ始めた方がアレルギーを予防できるという考え方が主流になってきました。科学的な検証から得られた知見なので、私もこの考え方を支持し、早期からアレルギーを起こしやすいとされる食べ物を、なるべく早い時期に、少量ずつ食べさせることを推奨します。具体的には、卵や蕎麦、ナッツ類、甲殻類です。はじめて食べさせるときは体調が良いとき、そして何かあったときにすぐに医療機関を受診できるように平日の午前中が良いでしょう。そして、まだ咀嚼などが十分にできないことや誤嚥や窒息の危険性を十分に考慮して加工・調理して食べさせるようにしましょう。特にナッツ類は決してそのまま与えるのではなく、刻んで窒息しないように注意する必要があります。

    3. 低濃度アトロピンの点眼

    これは、少し大きくなってからのお話。日本の近視の子供は増加の一途を辿っています。スマホやタブレット端末の利用機会の増加や、外で遊ばなくなったことなど、原因は多岐にわたっていると考えられますが、やはりメガネやコンタクトレンズは裸眼に比べると不便です。そこで、近視の進行抑制のために行いたいのが、この低濃度アトロピンの点眼です。就寝前に一度点眼するだけで、近視の進行を抑制することができると言われています。よほどオルソケラトロジーよりも簡便であると言えるでしょう。自由診療ですが、安全性は高い近視予防法ですので、可能な方は検討しても良いと思います。

    ※このサイトで述べることはあくまで個人的な考えに基づくもので、絶対にこうすべきであると結論づけるものではありません。そもそも子育ては子それぞれ、人それぞれですので全ての例に適するということはありえません。そのため、このサイトを参考にして生じ得た不利益・損害については一切の責任を負いません。